うさぎの国 〜プロローグ〜
オレは、目を閉じて
昨日のことを思い出していた。
もう一度、よく考えてみよう・・・
たしか昨日は夕食がてら、いつもの居酒屋で飲んで、
家まで歩いて帰ったはず・・・
そんで家に着いたら
そのまま、着替えもせず、すぐに眠ったんだ。
・・・・・・うん、たしかにそうだ。間違いない。
オレは今、自宅のベッドの上にいるはず・・・
なのに・・・
閉じていた目をゆっくり開く。
「ヨソモノが来たぞーー!! ヨソモノだーー!
やったー!成功したぞーー! ヨソモノばんざーい!」
家にいるはずのオレは
たくさんの“うさぎらしき存在”に囲まれていた。
どこだよここ!誰だよお前ら!
うさぎ・・・?がしゃべってる・・・しかも日本語?
何気に二足歩行だし・・・
なんなんだよーーー!!
メルヘンの国から抜け出てきたような
力の抜ける顔をしたうさぎ達。
こんなことが現実にありえる訳がない。
これは、夢か・・・?いや、夢に違いない!
ほっぺたを引っ張ってみる
・・・痛い
オレ
「ちょっ、ちょっと待てー!
ココはどこだよ!?そしてお前達は誰だーーー!」
うさぎ(らしきモノ)たち
「ヨソモノばんざーい! ヨソモノばんざーい!」
オレの魂の叫びは可愛らしい声援にかき消され
うさぎ達はオレを担ぎ上げ胴上げを始めた
察するに「ヨソモノ」というのはオレのことだろう。
なにやら熱烈に歓迎されているようだ。
どうも敵意は感じられない。
ってゆうか、こいつらの顔を見ると力が抜ける。。
うさぎ(らしきモノ)たち
「キャー!サイン下さい!」
「握手してください!」
「触っちゃった~もう手洗わないっ///」
映画スターのような扱いを受け
ちょっといい気になっているオレ
いや、違う!そんな場合じゃない!
誰かこの状況を説明してくれーー!!
オレ
「あの、すみません、
誰か話の分かる人はいないんですか?
ココはドコですか?
オレはなんでこんなとこにいるんですか?」
すると、一匹のうさぎがニンジンを持って近づいてきた。
うさぎ(らしきモノ)
「どうぞ、今年一番のニンジンです。
甘くて極上の味わいですよ。ぜひお食べ下さい!」
・・・答えになってないしっっっ!!!
どうやらオレの質問に答える気は無いらしい。
うさぎ(らしきモノ)たちはキラキラした瞳でオレを見上げ、
差し出されたニンジンスティックを食べるのを待っているようだ。
オレ
「あの、申し訳ないけど・・・オレ
ニンジン嫌い・・・」
わくわく♪ わくわく♪
ダメだ!オレの話を聞く気ゼロだっ!
期待いっぱいの瞳でオレを見つめてくる。
ニンジンは嫌いだし、第一怪しすぎてこんなもん食えるかっ!!
オレ
「いや、だから・・・
ニンジンは食べれないんだよ。ごめんね。
気持ちだけで十分だよ。ありがとう。
ところでココはいったいドコなんだい?」
わくわく♪ わくわく♪
優しく諭すように言ってみたが、効果はないようだ・・・
話が全然前に進まない。。
どうしよう・・・
★選択肢★
・逃げる